腹水の排出ポイントは入り口と出口を同時に対策

癌や肝硬変の進行によって溜まる腹水。腹水は一度溜まると再貯留を何度も繰り返します。そんな腹水の対策法について詳しくまとめています。

腹水の排出ポイントは入り口と出口を同時に対策

はじめまして。医療に従事してい山口と申します。今日は、今までの経験を元に腹水を排出する為の対策について詳しくまとめさせていただきます。少しでも皆様のいお役に立てると幸いです。

 

ご存知な方も多いと思いますが、腹水は癌や肝硬変などの進行に伴い発症する疾患です。もちろん、細かく言えば、癌や肝硬変以外にも、心不全ネフローゼ症候群、膵炎、虫垂炎、栄養失調などからも腹水が溜まることはあります。

 

腹水が溜まると、多臓器が強く圧迫され、全身の機能が急激に低下してしまいいます。その結果、身体はマイナス方向へ向かう一方で、命の危険にさらされてしまいす。また、腹水の貯留は、癌治療の妨げにもなるため、早急に対処する必要があるのです。

 

腹水が溜まる以下のような症状を伴います。

・お腹が張って息苦しい。

・お腹が張って痛む

・足がひどく浮腫む

・食欲が急激に低下する

・排尿・排便困難。

・咳・痰がひどくなる

 

患者様によっても症状の現れ方は異なりますが、どの症状も本当につらく、患者様にしかわからない大変お辛い症状だと私は思います。

 

病院で行われる腹水治療

 

通常、病院で行われる腹水治療は「対症療法」で一時的な緩和治療が基本となります。

溜まり始めは利尿剤やアルブミン製剤などで抜ける方が多いのですが、それも時間とともに効果は薄れてきてしまいます。

 

利尿剤やアルブミン製剤で効果が出なくなると、最終手段でもある腹水穿刺を行います。腹水穿刺は即効性もあり、一気に腹水を排出することができる治療ですが、身体に掛かる負担は大きく、血圧や体力が急激に低下してしまうこともあります。また、腹水穿刺は、腹水が溜まる根本の原因から治療しているわけではないため一度抜けてもまたすぐに腹水は溜まってきます。

 

ご存知な方も多いと思いますが、腹水の中には栄養成分も含まれています。その為、腹水を抜き続けることにより栄養成分までどんどん排出されるため、逆に腹水が溜まるスピードが速くなることもあるのです。

 

※ただ腹水を排出するだけではなく、必要な栄養成分のみ体内に戻す治療方法もございます。下記を参考にされてください。

 

  CARTとは? | 難治性腹水症に対する腹水濾過濃縮再静注法CART

  

腹水患者様、そのご家族様のお悩み

・腹水を抜いてもまたすぐに溜まってくる

・腹水穿刺を行うのが怖い

・利尿剤を飲んでいるが効果がない

・医師から余命宣告された

・お腹以外はやせ細っている

 

上記のような不安やお悩みやを抱えている患者様やご家族様が多くいらっしゃいます。確かに腹水は難治な疾患であり、一度溜まり始めると非常に厄介で命に係わる疾患です。そんな辛くて苦しい腹水を1日でも早く楽にできるようにしたい!これが腹水患者様の一番の願いだと感じました。

 

腹水対策の6つの必須条件

 

①腹水が溜まる原因を把握する

腹水対策において、なぜ腹水が溜まっているのか?どういう原因から腹水が溜まっているのか?ここを把握することが重要です。原因もわからないのに自身に合った対策を見つけることはできません。腹水だから誰もが同じ治療を行うのではなく自分に合った対策を行うことが重要です。

 

②水分を控えすぎても腹水が溜まることがあります。

水分を摂れば腹水は溜まる?この考えはすべてが正解ではありません。利尿剤を服用しながらも、1日の排尿量が700CC以上出ているのであれば、通常水分は適度に補う必要があります。余分な水分を排出するためには、必要な水分を補う必要があります。

 

水分を控えすぎることで、血液中に脱水が生じることもあります。血液中に脱水症状が起こると代謝は落ちさらに腹水が抜けにくい環境ができてしまうこともあります。特に腹水患者様は利尿剤などを服用されていますので、水分の排出量が多くなれば血液中に脱水症状が生じやすくなるのです。

※1日の水分摂取量につきましては主治医とご相談されてください。

 

③身体を温め冷えを予防する

 

身体が冷えることで代謝機能が低下し、水分の排泄力も同時に低下してしまいます。その為、腹水が排出されにくく、さらに腹水の貯留が進むこともございます。その他にも、冷えが悪化することで免疫力は低下し、癌細胞の増殖や転移などに繋がるケースもあるため、特に注意が必要です。

 

普段からの冷え予防としては自宅で行える鉱石粉砕加工シート岩盤浴なども良いと思います。身体は高温で短く温めるよりも、低温でじっくり温められた方が冷えの予防や改善に繋がりやすいです。

 

※炎症反応が強い時は身体の温め過ぎには注意が必要です。 

 

④腹水の排出経路は排尿だけではない

腹水は排尿以外にも、排便や汗からも排出されていきます。その為、排出経路である、便通や汗などが滞ることも腹水悪化に繋がってきます。

 

⑤利尿剤と利水剤の併用で相乗効果を高める

病院から処方される利尿剤は、体内の水分を強制的排出する効果があります。それは、不要な水分だけではなく、必要な水分までも同時に排出していきます。その為、利尿剤は長期の服用で脱水症状を起こしたり、腎機能を低下させる原因にもなります。

 

しかし、そんな利尿剤も腹水を排出する為には欠かせない治療薬です。実は、利尿剤のデメリットを減らし、メリットの部分をさらに引き出す方法もあるのです。

 

それは、漢方薬利尿剤の併用対策です。漢方薬の種類の中には、利水剤(りすいざい)という物があります。この利水剤は、利尿剤とは違い、体内の水分代謝を高め、自然な形で排尿を促していく効果のあるお薬です。また、利水剤は、水分調節も行ってくれるため、不要な水分だけを排出し、必要な水分は保持する作用があると言われています。

 

さらに利水剤は腎機能を高める効果もあるため、利尿剤の副作用予防としても有効的です。基本的には、利尿剤と利水剤の併用は可能で、同時に服用することで互いの良い部分を引き出しあい、悪い部分はカバーしていきます。しかし、利尿剤や利水剤にも色々な種類があり、患者様の症状や体質によっても服用する内容が異なるため、しっかりと医師や専門家に相談しご服用されてください。

※効果には個人差があります。

 

⑥腹水は出すことだけに捉われず、溜まらないようにすることも重要

腹水が溜まれば苦しい、いち早く腹水を排出したいところですが、ここだけは忘れてはいけません。腹水は排出することばかりに捉われていても根本的に改善することはできません。それは腹水が抜けても溜まる原因が解決していなければ再度腹水は溜まるからです。腹水対策を行う際は必ず「排出」と同時に「貯留予防」を同時に行っていく必要があるのです。

 

腹水対策を行う上で上記の5つの対策は最も重要だと私は感じています。

現在腹水でお悩みの方、そのご家族様は是非ご参考にされてください。

 

 ※何度も繰り返す腹水には漢方対策も有効的な治療法の1つです。特に気力や体力が低下された患者様にはお勧めな治療です。

※お薬をご服用される際は医師又は漢方専門薬局にご相談されてください。

 

腹水相談ができる機関

 

漢方薬で腹水の自然排出を促す方法/腹水の漢方専門店

漢方薬舗幸貴堂(かんぽうやくほこうきどう)

https://www.koukido.com/fukusui-2/

※患者様の体質や症状に合わせた漢方をご提案

※無料電話相談・メール相談なども行っているようです

 

肝硬変の腹水治療、症状,原因と漢方治療について

漢方誠芳園薬局

https://www.seihouen.ne.jp/newpage-kankouhen-fukusui.html


 ※肝硬変から起こる腹水の漢方対策など

 

 まとめ

 

腹水の辛さは患者様にしかわからない本当にお辛い症状だと思います。そんな腹水を減らすことができれば、身体の負担も軽減し、お体全体にプラスの反応も見えてくると思います。

 

実際に腹水が減ったことで、「退院でき自宅に戻ることができた」「食事や水分が美味しく頂けるようになった」「一人で外出できるようになった」「患者様の笑顔が増えた」など嬉しいご報告もありました。ですので、そんな腹水患者様を少しでも楽にできればと思い文章にまとめさせていただきました。

 

少しでも皆様のお力になれたら幸いです。